こんにちは。
当ブログでは、皆さんの日常の勉強活動に役立つ情報を案内しております。
記事作成者
大学受験専門の個別指導塾
ライブラ京橋校担当|高石 司
関西大学(社会学部メディア専攻)卒
関西有数の大手進学塾にて新卒1年目より新規開校校舎長を担当し、(当時)全54校中1位の校舎成長率を達成。エリアマネジメント職を経て2019年に独立し、ライブラ京橋校を設立。
塾外での正しい勉強習慣を定着させる「楽して学力を上げる学習指導」に注力し、関関同立・産近甲龍を中心に毎年多くの合格者を輩出。
本日のテーマ|勉強のモチベーションを高める方法について
【はじめに】
◆ やる気が「下がる」原因を考える
◆ 勉強嫌いの原因は「心理学」で説明できる
◆ モチベーションが上がる「条件」を整える
【まとめ】
【はじめに】
普段の生活でもしょっちゅう口にする単語「モチベーション」。
皆さんも、1日あたり1回は口に出しているのではないでしょうか。
やる気スイッチ、あればいいですよね。
ポチッと押せば、やる気全開!って。
まぁ、結論から言えばそんなものはありません。
そもそもやる気の構造はON・OFF式ではありませんし。
(別に"あのCM"をディスっているわけではありません)
私たちのモチベーション(やる気)の構造は、もう少し複雑にできています。
今回の記事は、そんな正体不明のモチベーションについて、様々な観点から広く&深く語っていこうと思います。
さて、突然ですがみなさんに質問です。
「毎日の受験勉強、楽しんでますか?」
...山のようなブーイングや心の舌打ちが聞こえてくるようです。
しかし、ちょっと待ってほしい!
そもそもなぜ、自分が勉強を楽しめていないのか、冷静に考えてみたことはありますか?
実はこれ、勉強のモチベーションの起伏にも直結する重要なテーマです。
まずはここから考えてみましょう。
◆ やる気が「下がる」原因を考える
周囲の大人たちから、以下のようなフレーズを言われた方はいませんか。
「もし私があなたの歳だったら、もっと勉強するのに。」
まるで仮定法習いたての例文で出てきそうなテンプレを語る学校や塾の先生。
「小さい頃は素直でいい子だったのに、どうして言うことを聞いてくれないの!」
美化された過去を突きつけて、自らの願望を語り込む両親。
「もうウンザリだよ〜」、と感じる方も少なくないでしょう。
かくいう僕自身も、中学・高校生当時は勉強は嫌いでした。
そう、「嫌い」だったのです。
「嫌い」だから、勉強を楽しめない。
実際のところ、みなさんの多くもそうではないでしょうか。
それでは、いつから自分が勉強が嫌いになったのかはっきりと思い出せる人はいますか?
はっきりと、「あの瞬間から嫌いになった」と言い切れる人はほとんどいないはずです。
それは、嫌いな感情が現在進行形で生み出されているからに他なりません。
では、どうして勉強をますます嫌いになってしまうのでしょう?
それは、先ほどの周囲の大人たちの発言が大いに関係してきます。
◆ 勉強嫌いの原因は「心理学」で説明できる
「もし私があなたの歳だったら、もっと勉強するのに。」
「小さい頃は素直でいい子だったのに、どうして言うことを聞いてくれないの。」
先ほど引用した2つの「よくあるフレーズ」は、ある共通する要素を含んでいます。
今のあなたの有り様(在り方)が否定されている
という点です。
「勉強しないあなた」の存在を、彼らは無意識に否定しています。
もちろん、ほとんどの大人達はそれほど深刻なメッセージを込めてはいないでしょう。
そして恐らく、皆さんもそこまで意識してメッセージを受け止めてはいないはずです。
ですが、結果的に皆さんは勉強のモチベーションはガリガリと削られて、望ましいとされる学習習慣を身につけられずにいるのです。
ここから、少々マニアックな話をします。
大学で心理学を学びたい・かじってみたい人は、ぜひじっくりと読んでみてください。
私たち人類は、何万年もかけて練り上げられた「社会的な動物」です。
自分自身という存在を社会の中で定義するためには、周囲との相互関係が不可欠です。
社会生活を営むなかで、自分の行為や状態に対するフィードバックがネガティブなものであった場合、人はそれをストレスとして受け止めます。
しかし人はストレスにとても弱いため、その状態が慢性的に続くとなると、たちまち健康状態を維持できなくなります。
心的ストレスが原因で、お腹が痛くなったり、頭痛に悩まされたりすることも珍しくありません。
このような「自分がおかれている現状と、それが本来望ましいとされるイメージとの間にギャップがある状態」を、心理学で認知的不協和状態と呼びます。
認知的不協和状態を解消するためには、いくつか手段があります。
一番わかりやすいのは、自分の現在の状況を変えることです。
たとえば、「テストで目標点を超えるのが望ましい」という要素と「目標点を超えていない現実」が相反するのであれば、「勉強できるようになればいい」のです。
しかし多くの場合は、そう上手くいきません。
現実を変えるというのは、多くの場合非常にコストがかかります。
実際、成績を改善するには多くの時間が必要ですし、勉強するのだってそれなりに体力を使いますからね。
人は元来、基本的にそういった手間のかかる手段を好まないのです。
では、どうやって認知的不協和状態から脱却するのか。
自分自身の認知を変えてしまうのです。
「勉強できていない自分」に対する、最もらしい理由を作るのです。
たとえば...
「私は勉強は嫌いだから...」
「勉強の才能がないから...」
「やっても出来なかったから...」
「勉強できても将来役に立つとは限らないし...」
「勉強できなくても仕方ない」
そんな具合です。
こうして私たちは、日常的に様々なストレスを回避しながら生活しています。
認知的不協和は、人に備わった防衛本能みたいなもので、それ自体が悪いというものではありません。
身の回りのストレス全てと正面切って向き合っていたら、それこそ本当に体を壊してしまいますからね。
しかし、自分自身の感情の出発点を見失わせるといった副作用があることは、知っておくべきだと思います。
というわけで、「どうして勉強が嫌いになるのか」のメカニズムは、およそこんな感じで説明できます。
当然、嫌いな対象にモチベーションなんて生まれるわけありませんから、勉強のモチベーションが上がらない理由も大体これのせい、となるわけです。
◆ モチベーションが上がる「条件」を整える
さて、それではどのようにして勉強のモチベーションを復活させれば良いのでしょう。
キーワードは「環境」と「コントロール感」
まずは「環境」から説明していきます。
これまで内容にあるとおり、あなたの周囲の環境は、あなたの精神、ひいてはあなたの行動に絶大な影響を及ぼしています。
あなたの周囲の環境が、あなたの勉強をポジティブに応援するものでなければ、よほど鍛え抜かれた精神の持ち主でない限り、たちまちやる気を失ってしまうでしょう。
では、具体的にはどのような学習環境が望ましいのか?
「あなたの成績表」ではなく「あなたの努力・行為」をほめてくれる人のいるところへ行く
これが非常に重要です。
優れた成績表を見せられたら、どんな人だって褒めることは簡単にできます。
しかし多くの大人は、得られた結果(成績表)しか見ようとしません。
自分たちの社会のルール(=成果主義)を、皆さんにも適用させようとします。
確かに、結果はとても大事です。
多くの場合、結果の伴わない努力には、失敗につながる何かしらの要素が含まれています。やり方がマズかったり、努力の総量が足りない場合もあるでしょう。
ですが、学校や模試の成績に関しては、前回と同じ努力をしたとしても、次の成績も同程度の結果が得られるとは限りません。
試験の出題範囲や難易度、設問形式や部分点などによって、テストごとの得点や偏差値はかなりブレるのは、皆さんもご存知のとおり。
しかし大抵の場合、「おーしよくやった!次もこの調子でやろう!」などと調子のいいことをのたまうのが、多くの親や教師というものです。
もちろん、一生懸命頑張った成果として得られた成績には、文字どおり"汗と涙の結晶"と呼ぶにふさわしい価値が詰まっていますから、全力で喜びを分かち合うのは良いことです。
しかし、それ以上に大事なことは、あなたの行動や信念を理解し、承認してくれる人のフィードバックです。
あなたの過去の全ての行為は、少なくともあなたにとっては「正義」だったわけです。
結果が振るわなかった成績表だけを見て「一体なにをやってたんだ!」なんてヤジを飛ばしてくる外野の話を、真面目に聞く必要はありません。
余計なストレスを抱えながら受験勉強するなんて、それ自体があまりにも厳しすぎる"デバフ"なのです。
あなたの正義を尊重しつつ、努力に対して正しいアドバイスを発信してくれる人がいる環境に身を置くことが、モチベーションの向上に必須と言えます。
次に「コントロール感」について解説します。
実はこの用語も心理学に深く関連しています。
人がストレスを抱える原因は様々ですが、ほとんどの人が、この「コントロール感の低下」によるストレスを経験したことがあるはずです。
人は、自分の思いどおりに目の前の物事を変化させられない場合、ストレスを感じるようにできています。
たとえば、数学の公式を事前に暗記していたはずなのに、試験で思い出せず結局解けなかった。あるいは、公式を使ってどのように解を求めればよいか気づけなかったとします。
仮にその場で一度失敗したとしても、「次はこうやって改善すれば解けるようになるはずだ!」等、コントロール感を失わずに済むこともあります。
しかし実際には、先にあったような外部環境も働いて、なかなかポジテイブな思考判断を維持するのは難しいものです。
その結果、「数学は自分にはコントロールできないものだ」と自分の中で結論づけて、最終的には勉強する努力をやめてしまいます。
これを心理学で「学習性無力感」と呼びます。
「学習性無力感」は大変厄介なもので、これに陥ると様々な事柄に対するモチベーションを根こそぎ失ってしまいます。
あなたが前向きな気持ちを維持して勉強を続けるには、「コントロール感」を失わないようにすることが肝要と言えます。
「コントロール感」を維持するには、「努力の成果の可視化」と「無償の自己承認」がカギとなります。
「学習の成果の可視化」とは、文字どおり自分ができるようになったことを具体的に認識できるようにするアクションのことです。
たとえば、これから半年かけて英単語を1200個覚えなければならないとします。
普段から英語があまり得意でないと感じる人であれば、英単語帳とにらめっこする時間は作ったとしても、自分から英単語テストを行うことはないでしょう。
しかし、それでは本当に英語が苦手なままなのかどうか永遠に分かりません。たとえ期中の模試成績が振るわないにしても、何が真の原因なのか分からないまま月日が流れてしまいます。
ですから必ず、週1や週2と決めて、英単語テストを行いましょう。
そうすれば、「なんとなく苦手」なのか「本当に苦手」なのかが分かりますし、今後の学習方針も立てられます。
何よりも、少しずつ上がっていく単語テストの結果が、あなたの成長感を増幅させます
英単語は自分のコントロールできる範疇にある、という事実を肌で感じることができます。
ここからは、もう一つの要素である「無償の自己承認」について。
「自分は元からダメなやつだ」
「どうせやっても変わらない」
などと考えて勉強していては、伸びる成績も伸びません。
というよりも、成績が伸びることをあなた自身が拒否しているという最悪の状態が生まれてしまいます。
「自己成就的予言」という心理学作用によって、基本的に私たちは頭の中で想定しているイメージの方向へ物事を無意識に引っ張っていくクセがあるのです。
根拠なんてなくて構いません!
自分を全力で信じてみてください!
正しい努力を・必要な時間積み重ねれば、必ず結果はついてきます。
つまるところ、あなたのコントロール感は、あなたが高めるほかないのです。
【まとめ】
以上が、「心理学的に勉強のモチベーションを高める方法」についてのお話でした。
大学受験を終えたあとでも、人生の様々な場面で「全力で頑張るべきタイミング」というのがやってきます。
国家試験や大学院入学試験、就職活動に伴う筆記試験や面接試験、社会人になった後も社内資格試験やMBA取得等、種類やタイミングは様々です。
受験勉強を通じて得られた入試の成功体験は、きっとあなたの人生の支えになります。
当塾は、「なるべく受験や勉強を直視したくない」という人にこそ、ぜひ足を運んでほしいと考えています。
「勉強が好き」になる必要はありませんが、「勉強が苦手」なまま大人になると、後の人生できっと苦労します。
「勉強が上手い人」とは、自分をコントロールする力に長けた人です。
また、上達した技術を披露することで、人は「楽しさ」を覚えることがあります。
このブログの冒頭で”ふっかける”ように「受験勉強を楽しんでいますか?」と尋ねましたが、皆さんの中に「受験勉強を楽しめる」だけの技を持つ人が、一人でも多く現れることを願っています。
素晴らしいコントロール感を得られる「あなただけの環境」を発見してください!
それでは、今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました!